2011年11月04日

高齢者への胃瘻の適応

あくまで85歳歳以上の高齢者においてですが、「食べれなくなったらすぐに胃瘻」というのは問題があると考えています。

私が嘱託医をしている老人ホームでは、家族から強い希望がない限り胃瘻は薦めていません。
その方の状態にもよりますが、嚥下機能が落ちていれば、口から食べ物をとっていなくても、自分の唾液を誤嚥したり、胃瘻からの逆流もあります。つまり胃瘻にしても、嚥下機能が悪い方は誤嚥生肺炎を繰り返します。
肺炎を繰り返すほど、抗生剤で効くものが減ってきます。また、熱発するたびに胃瘻からの注入をとめるので、空腹感もあることでしょう。

さらに認知症がある場合は、せっかく造設した胃瘻チューブを引き抜いてしまいます。

私が嘱託医をしている老人ホームでは、なるべく自然な最期をむかえられるよう、漢方も併用しながら、少量の輸液のみです。点滴をする血管がなくなったり、御本人が痛がるようなら皮下輸液をしています。このような治療だと、息をひきとる直前まで普通の生活や意思疎通ができているように思えます。

胃瘻の恩恵を受ける方も多いと思いますが、高齢者ではよく適応を考えていただきたいです。

高齢社会を迎えて、介護の問題は大きな問題となってきています。
御自身の御家族が、食べれなくなったときにどのような選択をするのかは、医師や看護師に頼るだけでなく、実際の様子をお聞きになり日頃から考えておくことも必要かなと感じています。
posted by Yasuko at 20:44| Comment(0) | 健康
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